アルミのマシニング加工を解説‐材質の特性や研磨・アルマイト処理まで
公開日:2026年3月16日
アルミニウム合金は、軽量性と加工性に優れた素材として、航空機部品から産業機械、建築部材まで幅広い分野で使用されています。しかし、一口に「アルミ」といっても、その種類によって加工特性は大きく異なります。
本記事では、マシニング加工の現場目線から、アルミ合金の系統別特性や加工のポイント、そして「加工から研磨、さらにアルマイト処理まで」一貫対応することのメリットについて解説します。
アルミ マシニング加工とは?基礎知識と材質の違い
マシニング加工の基本
マシニング加工とは、NC(数値制御)によって自動化されたフライス盤やマシニングセンタを用いて、金属材料を精密に切削加工する技術です。3軸から5軸まで、複雑な形状を高精度で削り出すことができます。
アルミニウムが加工材料として選ばれる理由は、主に以下の点です。
- 軽量性:鉄の約3分の1の比重で、輸送機器や可搬部品に最適
- 加工性:切削抵抗が小さく、高速加工が可能
- 耐食性:酸化皮膜により錆びにくい
- 表面処理性:アルマイト処理により、さらなる耐食性・耐摩耗性の向上が可能
アルミ合金の系統別特性と加工現場での実際
アルミ合金は添加元素によって1000番台から7000番台まで分類されます。同じ「アルミ」でも、系統によって加工難易度やコストは大きく変わります。
1000番台(1系・純アルミ系)
純度99%以上の純アルミニウムです。加工性は最良で、切削速度を上げやすいのが特徴です。しかし現場では注意点があります。軟らかすぎるため「構成刃先」が発生しやすく、仕上げ面に凹凸が残りやすいのです。切削油の選定や工具の刃先形状に工夫が必要になります。強度が低いため、構造部材には不向きで、化学装置や反射板など特殊用途に限定されます。アルマイト処理の密着性は良好で、美しい仕上がりが得られます。
2000番台(2系・Al-Cu系)
銅を主要添加元素とする高強度アルミ合金です。ジュラルミンとして知られ、航空機部品に多用されます。切削抵抗が大きく、工具摩耗が早いのが特徴です。加工現場では、工具寿命が1系の半分以下になることも珍しくありません。切削油の選定が品質とコストを左右します。熱処理による強度調整が可能なため、高強度が求められる構造材に使用されます。ただし、銅を含むためアルマイト処理の発色にムラが出やすく、装飾用途には注意が必要です。
5000番台(5系・Al-Mg系)
マグネシウムを主要添加元素とする合金で、実は現場で最も多く扱う材質です。耐食性に優れ、特に海水や薬品への耐性が高いことが特徴です。
加工現場での5系の評価は非常に高く、「削りやすく、仕上がりも安定している」という声が多いです。切削抵抗は6系とほぼ同等で、工具寿命も長く、加工コストを抑えやすい材質です。熱処理では硬化しませんが、加工硬化によって強度を高められます。
溶接性に優れているため、板材の溶接構造物によく使われます。船舶、車両、タンク、圧力容器など、耐食性と溶接性が求められる用途で広く採用されています。板金加工との組み合わせも多く、マシニング加工後に溶接する複合部品も珍しくありません。
アルマイト処理との相性も良好で、マグネシウム含有量によっては美しい発色が得られます。ただし、Mg含有量が多いと処理後に割れが生じる場合があるため、処理条件の調整が必要です。
大型の構造物では、6系の押出材と5系の板材を組み合わせることも多く、両方の加工ノウハウを持つことが重要です。
6000番台(6系・Al-Mg-Si系)
マグネシウムとシリコンを含む合金で、押出成形品として広く使われます。加工性と強度のバランスが良く、押出成形品が多いため、大型構造材に最適です。建築サッシ、車両フレーム、産業機械部品など用途は多岐にわたります。現場では「扱いやすい材質」として評価が高く、コストパフォーマンスにも優れています。大型部品の加工では、この6系が押出材として第一選択肢になることが多いです。
6系は最もアルマイト処理に適した材質の一つです。処理後の皮膜が均一で美しく、建築用サッシなどで広く採用される理由もここにあります。大型部品のアルマイト処理では、6系の選定が標準的です。
7000番台(7系・Al-Zn-Mg系)
亜鉛とマグネシウムを含む超々ジュラルミンです。アルミ合金中最高クラスの強度を持ちますが、加工時には注意が必要です。内部応力が大きく、加工中や加工後に変形するリスクがあります。応力除去焼鈍などの前処理が重要になります。航空宇宙産業やスポーツ用品など、強度が最優先される分野で使用されます。
アルマイト処理は可能ですが、亜鉛含有量が多いため処理条件が難しく、専門的な知識が必要です。装飾目的よりも耐食性向上を目的とした処理が一般的です。
アルミ鋳物(AC材・ADC材)
展伸材(板材や押出材)とは別に、鋳造によって製造されるアルミ鋳物も重要な加工対象です。複雑な形状を一体成形できるため、自動車部品、産業機械のハウジング、ポンプボディなど、幅広い用途で使われています。
現場での鋳物加工は、展伸材とは全く異なる注意点があります。
鋳物特有の加工上の課題:
- 巣(鋳巣)の存在:鋳造時に内部に気泡が残ることがあり、加工中に表面に現れると不良となります。深く削るほどリスクが高まります
- 硬度のばらつき:同じ部品内でも場所によって硬さが異なり、工具摩耗が予測しにくい
- 切削屑の形状:展伸材のような連続した切り屑ではなく、粉状になりやすいため、切削油の管理が重要
- 寸法精度の確保:鋳造時の収縮や歪みがあるため、加工代を多めに取る必要がある
代表的な鋳物材料:
- AC材(砂型鋳物):AC2A、AC4Cなど。大型部品に向き、比較的軟らかく加工しやすい
- ADC材(ダイカスト):ADC12など。量産品に多く、硬度が高く工具摩耗が早い
鋳物加工では、「どこまで削れるか」「巣が出ないか」という不確定要素との戦いになります。経験豊富な業者でなければ、歩留まりが大きく低下します。
アルミ鋳物とアルマイト処理
鋳物のアルマイト処理は展伸材よりも難易度が高くなります。鋳造組織の不均一性により、処理後の外観にムラが出やすいためです。特にADC材(ダイカスト)は、ケイ素含有量が多いため、黒っぽい発色になりやすく、装飾用途には向きません。AC材の方がアルマイト処理の仕上がりは良好ですが、巣がある部分は処理液が浸透して白い斑点となる場合があります。当社では、鋳物特有の特性を理解した上で、適切な加工条件とアルマイト処理条件を組み合わせています。
現場視点のポイント
同じアルミでも系統によって工具寿命が2〜3倍変わります。当社の実績では、5系と6系の展伸材加工が圧倒的に多く、全体の約6〜7割を占めています。残りの2〜3割はアルミ鋳物の加工です。特に大型部品では、耐食性重視なら5系、押出形状なら6系、複雑形状なら鋳物という使い分けが一般的です。アルマイト処理まで見据える場合は、6系が最も安定した仕上がりが得られるため、推奨されることが多いです。材質選定が加工コストに直結するため、用途に応じた適切な系統選びが重要です。
アルミのマシニング加工における技術的ポイント
材質別の加工条件と工具選定
切削速度は材質によって大きく異なります。1系では高速切削が可能で、毎分200〜300m以上の切削速度も珍しくありません。5系と6系は毎分150〜250m程度が標準的で、加工性も良好です。一方、2系や7系では毎分100〜200m程度に抑える必要があります。
アルミ鋳物の場合は、さらに慎重な条件設定が必要です。巣の有無や硬度のばらつきを考慮し、展伸材よりも切削速度を10〜20%程度落とすのが一般的です。工具への負担も大きいため、工具交換のタイミングを早めに設定します。
送り速度と切り込み深さのバランスも重要で、特に大型部品では、剛性不足によるたわみや振動が加工精度に影響します。鋳物の場合は、一度に深く削ると巣が現れるリスクが高まるため、複数パスに分けて慎重に削ることも多いです。
工具選定では、アルミ専用工具の使用が基本です。一般的な鉄鋼用工具とは溝形状が異なり、切りくず排出性能が高く設計されています。超硬エンドミルが標準的ですが、高精度仕上げにはダイヤモンドコーティング工具を使い分けます。
5系や6系のような加工性の良い材質では、工具寿命が長く、連続加工が可能です。しかし、2系や7系、そしてアルミ鋳物では工具交換頻度が高くなるため、段取り時間を含めたトータルの加工時間管理が重要になります。
大型部品の加工では、工具長と剛性のトレードオフが課題になります。深い加工部には長い工具が必要ですが、長くなるほど剛性が低下し、びびり振動のリスクが高まります。加工プログラムと工具選定の両面から対策が必要です。
研磨を見据えた表面仕上げ
ここが「削りっぱなし」の業者と、研磨まで一貫対応できる業者の大きな違いです。
マシニング加工だけで完結する業者は、切削条件を「削ること」だけに最適化します。しかし、研磨工程まで見据えている業者は、次工程での研磨代を考慮した表面粗さに仕上げます。削りすぎても、粗すぎても、研磨工程でのコストや時間が無駄になります。
一貫対応の利点は、加工段階から最終仕上がりをイメージして条件設定できることです。例えば、研磨代を最小限に抑えるための微細な切削条件調整や、研磨しやすい表面テクスチャーの作り込みなどが可能になります。加工と研磨の担当者が同じ社内にいれば、こうした細かな調整が容易です。
特に5系は研磨仕上げとの相性が良く、適切な切削条件で加工すれば、研磨工程での時間を大幅に短縮できます。
アルマイト処理を前提とした研磨
アルマイト処理を行う場合、研磨の重要性はさらに高まります。アルマイト処理は表面に酸化皮膜を形成する処理のため、下地となる素材表面の状態がそのまま最終仕上がりに影響します。研磨で傷や段差を残すと、処理後も目立ってしまいます。
当社では、アルマイト処理を前提とする場合、通常よりも細かい研磨番手で仕上げます。鏡面仕上げが必要な場合は、#800〜#1200程度まで研磨してからアルマイト処理を行うことで、美しい光沢が得られます。
アルミ鋳物の研磨における特別な配慮
鋳物は展伸材と比べて表面の均一性が低く、研磨に時間がかかります。巣が浅く表面近くにある場合、研磨で除去できることもありますが、深い場合は補修や再製作が必要になります。加工段階で巣の有無を確認し、研磨で対処可能かを見極める経験値が重要です。
鋳物にアルマイト処理を施す場合、巣の処理が特に重要です。小さな巣は研磨で除去するか、専用の充填材で埋める対処を行います。当社では、鋳物加工、研磨、アルマイト処理の全てに精通した担当者が連携することで、最適な仕上げ方法を提案しています。
「マシニング加工+研磨+アルマイト処理」一貫対応のメリット
なぜ加工・研磨・表面処理を分けると問題が起きるのか
多くの場合、マシニング加工、研磨、アルマイト処理は別々の業者に発注されます。しかし、これには以下のような問題があります。
まず、品質責任の所在が曖昧になります。最終製品にムラや不良が出た場合、「加工の問題」なのか「研磨の問題」なのか「処理の問題」なのか、切り分けが困難です。特にアルマイト処理後に不具合が見つかると、前工程に戻すことができず、全てが無駄になってしまいます。
次に、リードタイムの増加です。加工→別業者へ運搬→研磨→また別業者へ運搬→アルマイト処理と、3社を経由すると、運搬時間だけで1〜2週間を要することもあります。特に大型部品では、各工程間の調整が複雑になります。
さらに、各工程での検査と再梱包、運搬リスクとコストも無視できません。重量物を3回運搬すれば、それだけで数十万円のコストがかかることもあります。
アルマイト処理を前提とした加工の難しさ
アルマイト処理では、処理液に浸けるため、寸法が数ミクロン〜数十ミクロン変化します。また、処理後の皮膜厚さ(通常5〜25μm)も考慮する必要があります。加工業者がこれを理解していないと、処理後に寸法公差から外れてしまう可能性があります。
特にアルミ鋳物の場合、この問題はさらに複雑になります。加工中に巣が見つかった場合、「鋳造不良」なのか「加工ミス」なのか、責任の所在が不明確になりがちです。研磨業者に渡った後、さらにアルマイト処理業者に渡った後に巣が発見されると、やり直しのための運搬や再調整で大幅なロスが発生します。
一貫対応で実現できること
加工から研磨、アルマイト処理まで一貫対応できる体制では、これらの問題が解消されます。
最適な工程設計
加工段階から最終的なアルマイト処理後の寸法・外観をイメージして条件設定できます。処理による寸法変化を見越した加工公差の設定、研磨番手の選定、処理条件の最適化が、一つのチーム内で完結します。
中間検査の省略と迅速な対応
外部業者に渡す際に必要な詳細な検査が不要になり、社内で品質を確認しながら次工程に進められます。万一、加工中に問題が見つかっても、即座に研磨やアルマイト処理の担当者と協議し、最適な対処法を決定できます。
トータルでの品質保証
最終製品に対して一つの会社が責任を持つため、万一の不具合時にも対応が迅速です。「加工のせい」「研磨のせい」「処理のせい」という責任のなすりつけ合いが起きません。
アルミ鋳物での一貫対応のメリット
鋳物は加工中に巣が発見されることが珍しくありません。一貫対応体制であれば、巣が見つかった時点で即座に対応策を検討できます。「この程度の巣なら研磨で対処可能」「ここは充填材で補修してアルマイト処理」「深すぎるので再製作」といった判断を、加工・研磨・処理の全てを知る担当者が即座に下せるため、手戻りが最小限になります。
コストと納期の最適化
運搬回数が減り、中間マージンも削減されます。さらに、各工程が連携することで、全体のスループットが向上し、納期短縮が実現します。3社に分けて発注すると6週間かかる案件が、一貫対応では3〜4週間で完了することも珍しくありません。
当社ではアルミのマシニング加工からアルマイト処理までを一貫対応しております。
大型・大物部品での一貫対応の重要性
特に大型部品では、一貫対応の価値がさらに高まります。
長さ1メートル以上、重量100kg以上の部品を扱える業者は限定されます。マシニングセンタのテーブルサイズ、可搬重量、研磨設備の対応サイズ、そして大型部品に対応できるアルマイト処理槽を持つ業者は、さらに限られます。
大型部品のアルマイト処理は、処理槽のサイズが制約となります。一般的な処理業者の槽は1m以下のことが多く、大型部品には対応できません。当社では、大型部品専用の処理設備を保有しており、加工から処理まで一貫して対応可能です。
大型のアルミ鋳物となると、さらに対応できる業者は限られます。大型鋳物は重量があり、形状も複雑なため、加工時の固定治具設計から慎重に行う必要があります。これを3社に分けて発注すると、各社で治具を作り直す必要が生じ、コストが膨らみます。
大型部品を加工業者、研磨業者、アルマイト処理業者に分けて発注すると、運搬コストだけで数十万円かかることもあります。また、クレーンでの積み下ろし時の傷や変形リスクも無視できません。
一貫対応できる業者であれば、こうしたリスクとコストを大幅に削減できます。
アルマイト処理の基礎知識と活用法
アルマイト処理とは
アルマイト処理(陽極酸化処理)は、アルミニウム表面に人工的に酸化皮膜を形成する表面処理技術です。電解液中でアルミを陽極として電流を流すことで、緻密な酸化アルミニウム層を形成します。
アルマイト処理の主な効果:
- 耐食性の向上:酸化皮膜が素地を保護し、腐食を防ぐ
- 耐摩耗性の向上:硬い酸化皮膜により、傷がつきにくくなる
- 装飾性:染色により様々な色に仕上げることが可能
- 絶縁性:電気絶縁性が向上する
皮膜の厚さ:用途によって5〜25μm程度。厚くするほど耐食性・耐摩耗性は向上しますが、寸法変化も大きくなります。
アルマイト処理の種類と用途
白アルマイト(無色透明)
最も一般的な処理。アルミ素地の色がそのまま見え、銀白色の仕上がりになります。建築部材、産業機械部品など、幅広い用途に使用されます。
黒アルマイト
黒色に染色した処理。光学機器、カメラ部品、精密機器など、反射を抑えたい用途に使われます。
硬質アルマイト
通常のアルマイトよりも厚く硬い皮膜を形成(50〜100μm)。摺動部品、油圧部品など、耐摩耗性が特に重要な用途に使用されます。
カラーアルマイト
各種染料で染色し、金色、青、赤など様々な色に仕上げます。建築外装、装飾品などに使用されます。
材質別のアルマイト処理適性
前述の通り、アルミ合金の系統によってアルマイト処理の仕上がりは大きく異なります。
- 6系:最適。均一な皮膜、美しい外観
- 5系:良好。Mg含有量に注意
- 1系:良好。軟らかいため取扱い注意
- 2系・7系:やや困難。発色にムラが出やすい
- 鋳物:困難。組織の不均一性により外観にムラ
当社ではアルミのマシニング加工からアルマイト処理までを一貫対応しております。
鬨一精機のアルミ加工実績
A5052切削加工後に白アルマイト処理

A5052の切削加工(平面0.03)
サイズ:15XΦ580
材質:A5052
精度:平面0.03
A5052切削加工後に黒アルマイト処理

サイズ:12x400x1000mm
材質:A5052
加工後、黒アルマイト処理を行っております。
アルミ マシニング加工のコストを抑えるポイント
材質選定段階でのコストダウン
コストダウンの第一歩は、適切な材質選定です。
過剰スペックの材質を避けることが重要です。例えば、強度がそれほど必要ない部品に7系を使うと、材料費だけでなく加工コストも大幅に上がります。用途を正確に把握し、必要十分な系統を選びましょう。
耐食性が必要なら5系、押出形状で構造材なら6系、複雑形状なら鋳物という基本的な使い分けを押さえておくと良いでしょう。5系と6系は入手性も良く、納期短縮にもつながります。特に5系は板材、6系は押出材として流通量が多いため、コストパフォーマンスに優れています。
アルマイト処理を前提とする場合は6系が推奨
外観品質が重要な用途では、6系を選ぶことで処理後の仕上がりが安定し、不良率を下げられます。2系や7系、鋳物でアルマイト処理を行うと、外観ムラのリスクが高まり、結果的にコスト増となることがあります。
鋳物vs切削加工の選択
複雑な形状の部品を作る場合、「塊から削り出す」か「鋳物を加工する」かという選択肢があります。少量生産なら削り出しの方が型代がかからず安価ですが、ある程度の数量(目安:数十個以上)であれば、鋳物にした方がトータルコストは下がります。ただし、鋳物は巣のリスクがあるため、アルマイト処理を前提とする場合は慎重に判断する必要があります。
加工方法の最適化
加工工程の工夫でもコストは削減できます。
荒加工と仕上げ加工で工具を使い分けることで、工具コストと加工時間を最適化できます。荒加工は安価な工具で高速に削り、仕上げ加工で高精度工具を使う、というメリハリが重要です。
大型部品では、段取り回数の削減が大きな効果を生みます。一度のセットアップで複数面を加工できるよう、治具や加工順序を工夫することで、時間とコストを削減できます。特に大型鋳物は重量があるため、段取り替えには時間がかかります。加工プログラムを工夫し、できるだけ少ない段取りで仕上げることが重要です。
そして、一貫加工による中間マージン削減効果も見逃せません。加工業者、研磨業者、アルマイト処理業者それぞれが利益を上乗せするより、一社で完結する方が総コストは安くなります。3社経由だと各社15%の利益を乗せて最終的に1.5倍以上になるところ、一貫対応なら1.2倍程度に抑えられることもあります。
信頼できる加工業者の選び方
良い加工業者を選ぶには、以下のポイントを確認してください。
設備能力の確認
大型対応可能なマシニングセンタ、研磨設備、そして大型アルマイト処理槽の全てを持っているか。特にテーブルサイズ、可搬重量、処理槽のサイズは重要です。カタログだけでなく、実際の設備を見せてもらうことをお勧めします。大型鋳物を扱う場合、クレーン設備も重要な確認ポイントです。
材質知識と処理ノウハウ
アルミの系統ごとの加工ノウハウと、アルマイト処理の適性を理解しているか。単に「アルミ加工できます」「アルマイト処理できます」ではなく、「5系、6系、7系、そして鋳物の違いを理解し、それぞれに最適な加工・処理条件を設定できる」業者を選びましょう。特に5系と6系は流通量が多い分、加工実績の豊富さが品質に直結します。
鋳物加工の経験
鋳物加工は展伸材とは全く異なるノウハウが必要です。「鋳物は巣があるから難しい」と避けるのではなく、「巣のリスクを理解した上で、適切に対処できる」業者を選びましょう。過去にどの程度の鋳物加工実績があるか、アルマイト処理との組み合わせ経験があるかを確認することが重要です。
一貫対応力
「削って終わり」「研磨して終わり」ではなく、アルマイト処理まで責任を持てるか。各設備を持っていても、加工・研磨・処理の各担当者が連携できていない業者では、一貫対応の利点が活かせません。実際に工場を見学し、各工程の担当者がコミュニケーションを取っているかを確認しましょう。
実績の確認
同じ業界、同じサイズ、同じ処理条件の加工経験があるか。大型部品の経験がない業者に突然大物を依頼するのはリスクが高いです。また、アルマイト処理の色や皮膜厚さのサンプルを見せてもらい、品質レベルを確認しましょう。特に鋳物は経験値がモノを言う分野なので、類似品の加工実績は必ず確認してください。
まとめ‐アルミ マシニング加工で失敗しないために
アルミニウム合金は、系統によって加工難易度が大きく異なります。1系から7系まで、それぞれに適した用途と加工条件があり、さらにアルミ鋳物は展伸材とは全く異なる特性を持ちます。材質選定を間違えるとコストと品質の両面で問題が生じます。
実際の加工現場では、5系(耐食性重視の板材)と6系(構造材としての押出材)の展伸材加工が圧倒的に多く、これに加えてアルミ鋳物の加工も重要な位置を占めています。複雑形状部品ではAC材やADC材の鋳物が選ばれることも多く、用途に応じて適切に使い分けることで、コストと性能を最適化できます。
アルマイト処理まで見据える場合は、6系が最も安定した仕上がりが得られるため、外観品質が重要な用途では推奨されます。ただし、5系でも適切な条件設定で美しい仕上がりは可能です。
特に大型部品や鋳物では、「加工+研磨+アルマイト処理」の一貫対応が品質・コスト・納期すべてで有利です。運搬リスクの削減、中間マージンの排除、トータルでの品質保証という3つのメリットは、大型になるほど、また鋳物のように不確定要素が多い材料であるほど、さらにアルマイト処理まで必要な案件であるほど、効果が大きくなります。
材質特性を理解した業者選びが、プロジェクト成功の鍵です。設備能力(特に大型アルマイト処理槽の有無)、技術力、一貫対応力、そして鋳物加工とアルマイト処理の経験値を総合的に評価し、信頼できるパートナーを選んでください。
お気軽にお問い合わせください
Zoomなどオンラインでの打ち合わせにも対応いたします。
平日 8:30〜17:00


